われわれの体を構成する細胞の1つ1つには、体を間違いなく作りあげ、刻々に変化する外界に対処しながら生活を営み、子孫を作り、やがて死に至る、一切の遺伝情報が担われています。これをゲノムと呼びます。この情報を担うのはDNAと呼ばれるヒモ状の超高分子物質です。それは、アデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)、という4種の物質が、鎖状に連なった構造をしています。
ヒトゲノム計画とは、そのゲノムを研究することにより、私たちの体、育ち、活動、子孫繁栄また死に関する遺伝子情報の制御を明らからにして、最終的にヒトの存在意義にまで迫ろうという壮大な計画です。
ヒト・ゲノム解析研究は、現在分子生物学によって行われています。しかし、その情報の膨大さにより研究におけるコンピューターの役割が大きくなってきています。ヒトゲノム解析研究の後には、その明らかになった設計図を人間が理解しなくてはいけません。そのためには、現在よりもよりコンピューターの重要性が拡大します。つまり、分子生物学をより発展させる必要があるわけです。そこで現在注目されている学問があります。それは、バイオイフォマティクという学問で、生物学と情報化学を融合させ新たに学際的な視座に立ってさまざまな生物にかかわる事柄を研究するというものです。このバイオインフォマティクスの先駆けには、日本の慶応義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)環境情報学部で教鞭をとられる冨田勝先生がいらっしゃいます。
1970年代に遺伝の関わる現象がすべてDNAとして研究できるようになり、大いなる変貌を遂げた生物学は、ゲノム研究を契機として国際協力と競争を巻き起こしつつさらに21世紀に向けて飛躍を続けるのです。
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