遺伝子差別-GENE DISCRIMINATION-

遺伝子解析技術が向上し、一般の人が遺伝子を解析するようになると、遺伝的な欠陥をもつ人が会社から不当に解雇されたり、保険料が上がったり、するかもしれない。遺伝子の欠陥による差別が、この遺伝子差別である。

遺伝子検診なるものを受けた後、その結果には、「あなたは、50代半ばに肺がんにかかるでしょう」と書いてある。保険会社は、保険に入るときに遺伝子検診結果の添付を義務付ける。保険会社は、あなたに50代に肺がんにかかる恐れのない人よりも多くの保険積立金を要求する。これは、ありえる話である。

MENTAL SHOCK

遺伝子解析技術の向上により、一般の人が遺伝子解析検診をするようになると、予防医療、早期治療また発病前のチェックができることを意味し、人々の生活をより向上させる。反面、ひとたび病気が発見され、それが不治の病だとわかると自分の命を絶つような人も出てくる。私たちに求められているものは、今後そのようなことも考え、その不治の病に立ち向かう勇気と元気を与え、すべての治療法、考えられる副作用、それを有効に押さえるだけの薬などの知識を備え、患者に知らせ、患者をサポートする職業が新たに生まれている。それらを行う人を、「遺伝子カウンセラー」という。世界中で現在求められ出している職業で、アメリカが一番進んでおり、1500人を超えている。日本でも、その要望はとても強い。

GENE RICH AND NATURAL未来の新人類ジーンリッチ

2350年の話であるが、こういうシナリオがあるのをご存知だろうか?

2350年アメリカ、人種間の混血がすすみ、民族や肌の色による差別はなくなった。しかし、ここで新たな階級が生じた。遺伝子を操作している人間と遺伝子を操作していない人間との社会の二極化が進んだのだ。遺伝子を操作していない人間をナチュラルとよび人口の9割を占め、遺伝子を操作している人間をジーンリッチと呼び人口の1割を占めるのだ。

ジーンリッチ、優秀な遺伝子を受精卵に埋め込んだニュータイプの人類。ジーンリッチは、スポーツだけに限らず、その才能はあらゆる分野にわたっている。超人的な能力を持ちナチュラルがどんな努力をしても追いつけないほどの格差が生まれた。ジーンリッチとナチュラルの間には、はっきりとした階級の差が生まれていたのだ。ジーンリッチは、ジーンリッチ同士でしか結婚しなくなった。ジーンリッチが遺伝子の改良を進めいくと驚くべきことが起こった。ジーンリッチとナチュラルでは妊娠しなくなったのだ。生殖遺伝学者が調べた結果、不妊の原因は「遺伝形質の不一致」であったのだ。遺伝子わずか1.6%しか異ならないヒトとチンパンジーでも子供ができないようにジーンリッチとナチュラルは遺伝形質の異なる全く別の種になってしまったのである。プリンストン大学リー・M・シルバー教授は、こう言う「これはフィクションではないという。十分に起こりうる話であるのだ。」

これは、極端な仮説のひとつである。しかしヒトゲノムは、人類に莫大な恩恵を与える反面、一歩間違えれば人間という種の存亡にかかわることが起こりうる危険性を持つ諸刃の刃なのである。

 


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