早まるヒトゲノム計画

ヒトゲノム計画が始まった1990当初、読み取り完了は2005年、つまり15年かかるだろうと予測されていた。これはもちろんコンピューターや解析技術の発展、による作業のスピードアップを計算に入れての予測年数であった。しかし当時の科学者たちの予想以上にコンピューターは驚くべきスピードで進化していき、現在では完成予定は20世紀中、と大幅に早まった。
もちろんこれは技術が発展したからこそ可能となったわけだが、これほど予定を早めたのにはもうひとつ原因がある。
競争である。
本来ヒトゲノム計画は国家全体を上げた公的なプロジェクトとして進められてきた。よって解析にかかる資金は国家が出し、すでに解析されたDNA のデータは世界中のどこからでのもアクセスできるようにしていた。ところがそこに企業の存在が現れた。ヒトの設計図であるDNA の塩基配列。これが明らかになれば、今までとは比較にならないような医薬品が開発できることは必至である。つまりこれを手に入れた各医薬品会社は莫大な利益をこうむることができるのだ。医薬品会社の中には、次々と遺伝子を発見してはその役割もわからぬままとりあえず特許を申請しているところもある。そうすれば、後でじっくり研究してできた薬を独占して利益を得られるからだ。
これを目の当たりにした国家もうかうかしてはいられない。そこで考えたのが、遺伝情報をどんどん公表してしまうことにより特許をとれなくしてしまう、という方法であっ た。しかしそれには急いで次々と解析していく必要があった。そこで、国家は方針を変更したのである。もともとヒトゲノム計画は、高い精度の読み取りを目標としてきた。せっかく解析してもまちがいだらけでは使い物にならない。まちがった病気の治療法が開発されてしまうかもしれない。 しかしそれでは間に合わないので、多少の不正確さは承知の上で、とにかくすべて読み取ってしまうことを最重点においた。各国は予算を大幅に増加、大量の人と機械を投入 して解読に急いだ。これにより、一通りの解読作業は2000年の3月には終わるだろうとのこどである。また本来の精度の高い、ちゃんとした解読は2003年に完了予定である。

 

  ヒトゲノム計画−開始と完了−

1990 ヒトゲノム計画の開始
2000.3月 ゲノムの大まかな読み取り完了予定
2003 ゲノム計画完了予定
2005 計画開始当初の完了予定

 


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