cDNA計画

cDNA計画とは、日本が独自に進めているゲノム計画のことである。一般のゲノム計画との違いを説明するために、まずゲノムのつくりについて復習する。

DNA(ゲノム)は、エクソンイントロン、遺伝子の部分とそうでない部分からできている。エクソンとは、DNAの中で実際にタンパク質に翻訳される遺伝子の部分であり、DNA全体の約5%を占める。それ以外の非遺伝子部分がイントロンであり、エクソンの間間に存在する非翻訳領域である。イントロンは調節配列とジャンクDNAからなる。

一般のゲノム計画とcDNA計画との違いは、ゲノム計画がDNAすべてを解析するのに対し、cDNA計画では働いている大事な遺伝子の部分だけを読み取ろうとすることである。つまり、遺伝情報の意味を持つエクソンの部分だけをよみとろうとするのがcDNA計画なのである。

解析方法

まず、ある特定の臓器からmRNAをとってきて、それを通常とは逆にウイルス逆転写酵素を使ってDNAに変えてしまう。この人工的に作られたDNAをcDNAと呼ぶ。cDNAはComplementary DNAの略で相補的DNAという意味である。 cDNAは実際のDNAからその臓器の中で読まれた部分のみの情報なので、事実上そこでつくられるたんぱく質の設計図に相当する。不必要な遺伝子が除かれているわけだから実際に解析する絶対量が少なく、ヒトゲノムの50分の1から100分の1程度の労力で決定することができる。
しかし、脳なら脳だけ、足なら足だけの設計図しか見ることができないため、全ゲノムを見るということには程遠い計画である。また、遺伝子と遺伝子の間に存在する調節配列が全部無視されてしまうというデメリットをもつ。

以下にゲノム計画とcDNA計画の長所及び短所について挙げておく。

  長所 短所
ゲノム計画 全ての配列がわかり、全遺伝子を知ることができる。

調節配列もわかる。

金、労力、時間がかかる。

意味のない配列も読んでしまう。

cDNA計画 エクソンに対応した部分だけを知ることができる。

簡便である。

大量にmRNAを作っているものだけを検出する。

ある臓器にある時期にしか発現していないものだけを調べることになる。