クローン羊ドリー

なお、今回騒がれた羊のドリーは体細胞核移植によって生み出されたクローン羊です。
この羊は以下の目的から生み出されました。

ロスリン研究所ではクローン人間の製造という大それた目標など持っていませんでした。

では、何が目的だったのか? それには納得ができ、かつ倫理的に許されると思える理由があったのです。

それは遺伝病の治療に必要なミルクの製造でした。人たんぱく質の一種であるαラクトアルブミン(新生児が必要とするアミノ酸の大半を含んでいる物質)を含む乳の出る羊と牛を人工的に作ろうとしていたのです。以前はこの種の「優秀な牛」を遺伝子組換えによって作っていました。しかし、この遺伝子組換えの作業が大変な上、成功率も低かったのです。というのは、いくら優秀な両親の受精卵を使ったとしても、父親の持つ遺伝子と母親の持つ遺伝子の組み合わせ方によっては、「優秀な牛」が生まれてくるかどうかは全くの偶然に負かされてしまうからです。しかも、受精卵が16個から32個に分裂した段階の細胞を使うため、一度に作れる子供の数は理論的に言って16から32個と限界がありました。したがって、従来の方法で「優秀な牛」を作るのは非常に能率が悪かったのです。そのためいっそのこと「成長した羊と全く同じ遺伝子を持つクローン」を作ってしまおうと、今回のクローン技術(体細胞核移植によるクローニング)が開発されました。数限りなく同じ品質のものが作れようになったわけです。この技術そのものはしばらく前から存在していたのですが妊娠はするもののうまく 出産し、成長したものが存在しないからでした。


←戻る