上告コメント

本日、午後2時30分、平成8年3月25日に言い渡された職務執行命令裁判請求事件の判決を不服として、福岡高等裁判所那覇支部に上告状を提出しました。
 今回の裁判は、駐留軍用地の強制使用に係る立会・署名押印という手続き上の問題に限定されるものではなく、沖縄における米軍基地の実態を通して、機関委任事務と地方自治の本旨との関係、平和的生存権、財産権や平等原則についての憲法上の問題が問われた、沖縄の将来を左右する重要な裁判でありました。

 沖縄県は、戦後50年間も県民の土地が駐留軍用地として強制使用されてきた事実は財産権を侵害していること、広大で過密な米軍基地の存在は平等原則に反すること、実弾砲撃演習や各種の軍事訓練による自然環境や生活環境の破壊、米軍人・軍属による事件事故の多発は平和のうちに生存する権利を脅かしていること等々、基地に起因する様々な被害や重圧が県民の基本的人権を侵害し、地方自治の確立を阻害していることを強く主張しました。

 しかしながら、裁判所は実質審理を尽くすこともなく、沖縄県が提起した憲法及び地方自治に係る本質的な問題を単に判決の背景事実として認識するにとどまっています。

 判決は、基地の重圧に苦しむ沖縄の過去、現在を考慮することもなく、また未来に向けた基地問題解決の展望に欠けるものであります。

 沖縄県としては、県弁護団と相談した結果、上記のことがらについて、最高裁判所の判断を仰ぐため上告することとしました。

                    平成8年4月1日
                    沖縄県知事 大田昌秀


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