アメリカ合衆国大統領
 ウィリアム・J・クリントン 殿

 

日米地位協定の見直しに関する要請

平成7年11月4日

沖縄県知事 大田昌秀


 貴職におかれましては、本県における振興開発並びに米軍基地問題の解決について、平 素より格別の御理解と御配慮を賜り、厚くお礼申し上げます。

 さて、沖縄県は、面積で日本全国の0.6%と全国でも4番目に小さな県であります。 このような狭あいな本県に、戦後50年を経た今日、なお在日米軍専用施設の約75%が 集中しています。

 これらの米軍基地は、県土面積の約11%、人口、産業が集積する沖縄本島では実に2 0%を占めるなど高密度の状況にあります。さらに、米軍基地に接する水域や訓練水域、 訓練空域が設定されていることから、米軍基地は本県の振興開発の推進及び県民生活の安 定を図る上で大きな制約となっています。

 また、米軍基地の存在は、日常的な航空機騒音による被害をはじめ、県民の生活道を封 鎖して行われる県道104号線越え実弾砲撃演習や住民地域に隣接した地域でのパラシュ ート降下訓練の実施、米軍戦闘機やヘリコプター墜落事故の発生等、県民生活に様々な支 障を来し、大きな不安を与えております。

 さらに、米軍人等による犯罪は、復帰後これまでに4,716件、うち凶悪事件が50 9件も発生し、県民の基本的人権さえも脅かされております。

 県としては、これらの基地問題の解決促進に資するため、在日米軍基地の法的根拠とな っている日米地位協定等の研究を行い、その問題点等について検討してきました。

 その結果、県民に大きな影響を与える日米地位協定について、現行の規定のままでは、 米軍基地の整理縮小や基地から派生する諸問題の解決を図ることは困難であり、その見直 しが必要であるとの結論に達しました。

 また、県民の間でも、去る9月4日に発生した米軍人による児童暴行事件を契機に、日 米地位協定を見直すべきとの声が高まっています。

 去る10月21日に開催された「米軍人による少女暴行事件を糾弾し、日米地位協定の 見直しを要求する沖縄県民総決起大会」には、県外からの参加者約3千人を含め、8万5 千人(主催者発表)の県民が結集し、日米地位協定の早急な見直しを求める等の大会決議 が採択されました。

 復帰後最大の抗議集会となったこの大会は、沖縄県婦人連合会をはじめ、沖縄県農協中 央会や経営者協会等、県内各界の主要18団体の呼びかけにより行われたものであり、地 位協定の見直しを求める大会決議は県民の総意であると言えます。

 つきましては、現行の日米地位協定について、日米両国政府間で協議を行い、早急にそ の見直しを図っていただきますよう次のとおり要請いたします。



要 請 事 項

  1.  地位協定第2条を見直し、日本国政府は、施設・区域の所在する都道府県や市町村 から意見を聴取し、施設・区域の存在が、当該自治体の振興開発等に悪影響を及ぼして いる場合は、米国政府に対し、その返還を要請し、米国政府は、その要請に応じなけれ ばならない旨を明記すること。

  2.  地位協定第3条を見直し、地域の住民に大きな影響を与える航空機騒音及び環境保 護に関しては、施設・区域内でも国内法を適用すること。また、地方自治体が施設・区 域内への立ち入りを希望した場合には、米軍は速やかに応じなければならない旨を明記 すること。
      航空機事故等の重大事故については、事故原因を早急に究明し、その原因を速やか に関係自治体に報告する旨を明記すること。
      米軍の演習に関する条項を追加し、演習に対する規制を明記すること。また、演習 (訓練)中に事件・事故が発生した場合、事件・事故を起こした部隊に対して、演習( 訓練)中止等のペナルティーを科すことを明記すること。
     施設内のゴルフ場における日本人の利用を全面的に禁止すること。

  3.  地位協定第5条を見直し、緊急時以外の民間空港の使用禁止を明記すること。ま た、「移動」の定義を明確にし、民間地域での行軍を禁止すること。

  4.  地位協定第6条に関連し、那覇空港の進入管制業務の日本への移管について、日米 間で協議すること。

  5.  地位協定第9条に、人及び動物、植物に対する検疫並びに人の保健衛生に関して、 国内法を適用することを明記すること。

  6.  地位協定第10条に関連し、県民が容易に識別できる軍用車両の番号標の基準を示 すこと。

  7.  地位協定第13条を見直し、合衆国軍隊の構成員等の私有車両に対する自動車税及 び軽自動車税については、民間車両と同じ税率で課税されることを明記すること。

  8.  地位協定第17条を見直し、日本国が裁判権を行使すべき合衆国軍隊の構成員又は 軍属たる被疑者の拘禁が、どのような場合でも、日本側ができるよう明記すること。

  9.  地位協定第18条を見直し、合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族によ り被害を受けた場合は、公務中か公務外かを問わず、日本政府の責任で補償が受けられるよう明記すること。

  10.  地位協定第25条を見直し、日米合同委員会の場で、基地の運用に関して関係自 治体の意向を聴取することを明記すること。また、日米合同委員会で合意された事項を 速やかに公表することを明記すること。

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